大人よりも長い睡眠時間が必要なのに、夜更かしする幼児が増えている

睡眠に影響する行動

夜更かしする幼児の増加

幼児の夜ふかしと主養育者に対する睡眠教育の重要性という研究論文を引用・参考にしています。

2000年の調査では22時以降に就床する幼児は4割に達しており、1990年に比べて約2倍になっています。その一方で起床時刻には大きな変化がみられないため、睡眠時間の短縮が明らかになっております。幼児の睡眠不足は昼寝や起床時刻の後退で補うことが出来ない程だと指摘する声もあります。幼児の睡眠時間の短縮の要因として、幼児のテレビの視聴時間や両親の帰宅時刻、両親の精神健康度や養育態度などが指摘されています。幼児の夜更かしや睡眠・生活習慣を見直すためには、まずは養育者から睡眠・生活習慣の意識化を図ることが重要だと推察されています。

幼児の睡眠・生活習慣を改善するためには?

幼児の睡眠・生活習慣を改善するためには、①主養育者に幼児の就床時刻の後退は寝不足や行動問題の増加にも関連することを認識してもらうこと。②幼児のテレビ視聴終了時刻を早めること。③主養育者の朝の行動や夕食の時刻を見直すこと。④良好な睡眠を得るための知識教育を行うこと。の以上、4点が重要だとわかりました。では、その調査方法とは?

調査方法

対象者は29組の親子です。主養育者が祖父母である場合や、発達障害や精神神経科に通院する親子は含まれていません。幼児の年齢は5歳3ヶ月~6歳3ヶ月で、男児14名、女児15名です。6月下旬から7月上旬にかけて質問紙に回答してもらい、その後3ヶ月間、選択した生活習慣改善目標に従って生活してもらいました。生活習慣改善目標には、「目覚めたらさっと起きる」や「休日に30分の体操、ウォーキングをする」など多様なものがあります。3ヶ月の生活の後、さらに同じ質問紙に回答してもらい、その生活習慣改善の効果について検討しました。

結果

幼児の就床時刻による習慣の違い

就床時刻が22時以降に就床する幼児(就床時刻が遅い幼児)と、21時以前に就床する幼児(就床時刻が早い幼児)とに分けて結果を整理しました。表の左側が22時以降に就床する幼児のデータで右側が21時以前に就床する幼児のデータです。
幼児の平日の睡眠時間を比較すると、就床時刻が遅い幼児は早い幼児に比べて45分の睡眠時間が短くなっています。また、就床時刻が遅い幼児は起床時間も遅いことが分かります。起床時間を遅らせることで睡眠時間を確保しようとしますが、それでも就床時刻が早い幼児よりも45分間短いのです。睡眠時間の満足度については、就床時刻が遅い幼児の70%が、睡眠時間が不足していると回答しており、就床時刻が早い幼児の21.4%と比べて明らかな違いがみられます(表や図はなし)。
就床時刻が遅い幼児と早い幼児の、主養育者における睡眠習慣を比較したのが表の中段です。主養育者においては、就床時刻と睡眠時間には差は認められませんでした。しかし、平日・休日ともに就床時刻が遅い幼児の養育者は、起床時間が遅かったです。
家庭の習慣についてです。就床時刻が遅い幼児の家庭では、朝食開始時刻及び夕食開始時刻ともに、遅くなっております。また、テレビの見終わる時刻も遅いことが分かりました。

幼児の就床時刻と行動問題

幼児の就床時刻が遅いと攻撃的行動が多くなります。不安・抑うつ・引きこもり、非行的行動、注意・社会性の問題については差はありませんでした。

生活習慣の状況と生活習慣改善目標の関係

下の表は、就床時刻が遅い幼児(22時以降の就床)と早い幼児(21時以前の就床)の主養育者の良好な睡眠習慣を得るための生活習慣状況を示しています。習慣の右側に3段階の評価がありますが、上の評価程良好な睡眠習慣を得ることが出来ます。例えば、「就床直前まで仕事や勉強をしている」という項目では、あまりない・ときどきある・よくあるの3段階になっており、就床直前まで仕事や勉強はあまりしないほうが良い睡眠習慣だということを示している表になります。就床時刻が早い幼児の主養育者のなんと8割が「のんびりした入浴」がよくある又はときどきあると回答していました。一方で就床時刻が遅い幼児の8割が「のんびりした入浴」はほとんどないと回答していました。分かりやすく逆転しています。また、就床時刻が早い幼児の主養育者は「目覚めたらすぐに起きる」と「寝つきを良くするために飲酒する」傾向にありました。

調査結果から見えてくること

結果としては載せられていませんが、幼児の夜更かしの有無を尋ねたところ、22時以降に就床する幼児(就床時刻が遅い幼児)も21時以前に就床する幼児(就床時刻が早い幼児)も、夜更かしする割合は2~3割程度だったそうです。ところが、就床時刻が早い幼児の夜更かしは、しても就床時刻は22時以前だというのです。このことは、主養育者間において幼児の就床時刻に対して認識が異なると考えられます。22時以降に就床する幼児の主養育者が、22時以降の就床は遅いと考えていないと示唆されます。幼児が大人と同じ時間に寝て、大人は十分な睡眠がとれるかもしれませんが、幼児にとっては足りないのです。幼児の夜更かしの原因の一つに、テレビの視聴時間の長さが指摘されていますが、この調査においても就床時刻が遅い幼児はテレビの視聴時間も長いことが分かりました。主養育者の就床時刻と睡眠時間、そして家庭の習慣における帰宅時間においては差はありませんでしたが、夕食開始時刻には差がありました。さらに、主養育者の起床時間と朝食開始時刻にも差があり、主養育者の起床時間は、家庭全体の習慣とも全体的に関連する可能性があります。このことから主養育者自身の睡眠習慣の改善としては、まず起床時刻を早めることを意識してもらう必要があります。そして、目覚めたらすぐに起きることは一日のリズムを整えるために重要な習慣です。就床時刻が早い幼児の主養育者の習慣として、飲酒する割合が高くなっていましたが、眠るために飲酒することはお勧めしません。寝るための飲酒は、徐々に量が増加し、効果も薄れるからです。しかし、就床時刻が早い幼児の主養育者は眠るために何か行動をしていることが読み取れます。
幼児の就床時刻が遅いと、不安や抑うつ等の問題にはなりませんが、攻撃的行動が多くなります。また、睡眠時間の短縮は日中の活量の低下、学力の低下、攻撃性やイライラ感の増加が指摘されています。特に幼児期の睡眠問題は、思春期の行動と情緒の問題にも関連するという報告もあります。

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意識改革と試行してみました

私には4歳と1歳の2人の息子がいます。
どちらも寝るのが遅く、布団に入るのは22時頃でした。布団に入ってもしばらくは起きていて、すぐには眠りません。朝は7時前に起こすのですが、眠い眠いと言ってなかなか起きず、起きてもぐったりだらだらしています。それでも7時40分ごろに家を出て、保育園に連れていきます。仕事から帰ってくるのが19時ごろです。帰宅時に子供がご飯を食べていなければ、シャワーに入れます。夕食前だと子供は、「先にご飯を食べたい。」と言いますが、できるだけシャワーを優先します。満腹になると動くのがおっくうになると考えているからです。子供の夕食とシャワーが終わるのが20時頃で、自由時間ということで1時間程テレビを見ていいことにしていました。テレビといってもYoutubeの時もあります。21時頃になると歯磨きやトイレなど寝る準備をします。そして私は洗濯と歯磨きをして寝る準備をして(その間もテレビはついています)、子供と一緒に寝るのが22時頃となります。子供だけで寝てこいと思うのですが、子供だけでは寝ません。
この習慣、特にテレビの時間が長いということに気が付きました。自由時間の1時間だけではなく、1時間半~2時間ほどテレビはついているはずです。私が歯磨きをしている時間も付いていますから。テレビはついていても歯磨きは出来るということで、歯磨きを20時~20時半頃に設定しました。すると、子供の寝る時間が30分~1時間程早くなったのです!子供の中で、「歯磨き→トイレ→布団→寝る」という習慣があり、その習慣は崩れていないので、うまくいっているのかもしれません。今はシャワーですが、お風呂にするとさらに効果は上がるはずです。

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