眠る前は照明を赤く、暗く調整すると睡眠の質が向上します

寝室の照明環境を整えよう

良質な睡眠のための環境づくり -就寝前のリラクゼーションと光の活用-という研究論文を引用・参考にしています。

寝室の環境因子の中で、照明が睡眠に影響することが知られています。照明の特性として、照度、色温度、輝度、光源の高さや光の広がりなどが挙げられますが、その中でも照度と色温度が生体リズムや覚醒度など生体の生理面、また落ち着き感などの心理面にも大きな影響を与えます。照度とは、明るさの指標であり、lux(ルクス)で表します。月明りで0.5 lux、一般住宅の居間で150~300 lux、オフィスで500~1000 lux、晴天時には5000~10000 luxほどを示します。色温度とは、光の色合い(赤色なのか青色なのかそれとも黄色なのか)を数値表現したもので、K(ケルビン)で表します。色温度が高いと青白い光を表しています。昼白色や昼光色の蛍光灯がそれにあたり、5000~6700Kほどを示します。色温度が低いと赤みがかった光を表しており、白熱灯や電球色の蛍光灯がそれにあたり、3000Kほどを示します。

色温度の高い6500K以上の光は、人体に影響を与えます。波長域では450~550nmにあると考えられていて、影響のピークは特に460~470nm付近にあるとされています。青い光というのは、440nm~500nm程の波長であり、高エネルギー・高影響力を有しています。

光が与える影響

快眠に役立つ光環境整備手法 -照明環境の立場から-という研究論文を引用・参考にしています。

光は人のサーカディアンリズム、つまり体内時計に影響を与えます。眠る前の時間帯である夜間前半に受光量が多いと体内時計の時刻が後ろに後退し、朝方や夜間後半に受光量が多いと体内時計の時刻は前進します。つまり、眠る前に光を多く見てしまうと眠れなくなり、朝方に多く光を見ると眠気を感じる時刻は早まります。一方、昼間に多くの光を受光すると体内時計の時刻は変化しませんが、時計の振動機能が強化され、サーカディアンリズムの振幅が大きくなります。反対に夜間の受光量が多いとメラトニン分泌が抑制されたり、体温の下降が妨げられたりと、体内時計のリズムは弱められます。メラトニンの分泌抑制は青色光で特に強く、目を閉じた状態や視覚障害を有する人でも確認されています。また、体温がうまく下降できないとスムーズに入眠できなくなります。それは体温が下がり、皮膚温度との温度差が小さくなった時に眠気を感じるからです。青色光は体温の低下も抑制することが知られており、睡眠の質を低下させる危険性があります。逆に、覚醒のためには青色光は効率的に作用する可能性があります。

白熱灯も電力も貴重だった時代には点灯時間が短く、青色波長成分も少なかったので、サーカディアンリズムに与える影響は小さいものでした。しかし、現在では夜の発光量も青色波長成分も増大しています。特に青色波長成分が突出した白色LEDを夜間室内照明に用いるのは要注意です。一方、照明によって室内が明るくなったとはいえ、日中屋外の100分の1程度にすぎません。社会の24時間化の影響を受けると、昼間屋外での受光量が激減する上に、夜間は過剰受光になります。それによってサーカディアンリズムの弱体化や睡眠覚醒リズムの異常が懸念されます。

時間帯によって照明はどう変えるべきか

就寝前の照明環境

就寝前は照明を照度30 lux以下・色温度3000K以下にしましょう。具体的には、明るさはライターくらいで、色は赤色~オレンジ色になります。
時計物質として分泌されるメラトニン量は、サーカディアンリズムを示し、眠る前に多くなります。そのメラトニンは照度依存性を示し、照度が高く受光量が多いほど分泌が抑制され、覚醒度の上昇へとつながります。メラトニン分泌への影響に加え、一般の視作業に支障が生じさせないことを考慮すると適切な照度は100~200 luxが目安となります。また、赤みがかった低い色温度の光は、精神を落ち着かせる作用があります。そして、入眠前の覚醒水準の低下への影響から、照明の最適な照度と色温度設定を検討した研究では、照度30 lux・色温度3000Kの条件が覚醒度の低下が最もスムーズでした。就寝直前は照度はさらに低く、色温度は3000K以下にするとより良いです。

就寝中の照明環境

睡眠中にも光はまぶたを通して入り、その光に反応することが確認されています。睡眠の深さに及ぼす就寝中の環境照度の影響を調べた研究では、終夜の平均睡眠深度が0.3 luxで最高となり、30 lux以上で睡眠が浅くなり、50 lux以上では顔を覆う遮光動作がみられました。。そしてなんと、暗闇である0 luxでは0.3 luxよりも浅くなります。そのため、睡眠中は0.3 lux~1 luxが推奨となります。照明を消して、外からの光も入ってこなければOKです。

起床前後の照明環境

30分以上かけて徐々に明るくすることが重要です。
起床前の30分間、徐々に照度を上げて100 luxまで上昇させると、自然な覚醒が促進され、目覚め感も向上することが報告されています。また、起床前の30分間、徐々に照度を上げて1000 luxまで上昇させた場合、起床時の眠気の減少や熟眠感の改善、注意集中力の上昇が認められました。この論文の筆者はこれらの結果は、起床前に徐々に照度を上げることは交感神経活動を亢進させ、起床のための覚醒準備が促進させたことにより目覚め感の改善を促したのではないかと推測しています。
色温度には、メラトニン抑制や覚醒度上昇を促進させるためには5000K以上が望ましいです。

こんな照明器具あります

睡眠前には赤色光、低照度で使用可能です。また、朝にはゆっくりと光が強まるサンライズ機能によって目覚ましを助けてくれる照明器具があります。音による目覚まし機能も付いています。
赤ちゃんの寝かしつけから大人まで、睡眠環境を整えるトトノエライト。

コメント

  1. […] 明るさ […]