睡眠を改善できるツボは百会や印堂などです

ツボを押すと睡眠の質を改善しよう

ツボを押すと睡眠の質が改善される理由は、筋緊張の緩和を促し、睡眠物質を分泌させるからです。

うつに有効な鍼灸のツボとその作用機作に関する考察という研究論文を引用・参考にしています。

鍼灸治療は局所の血流増加、筋緊張の緩和、免疫の活性化のみならず、脳内ではモルヒネ様物質の分泌を促し、鎮痛効果を発揮させます。また、前頭葉の活動や自律神経の調整に関与し、幸せホルモンや愛情ホルモンとして知られるオキシトシンやセロトニンの分泌を増加させるなど、不安やストレス軽減にも寄与することが明らかになっています。
まず、鍼灸治療とは皮膚を介在した微小刺激です。皮膚は発生学的にも脳と同じ外胚葉由来で、皮膚からの刺激や情報は脳へ伝達され、脳を活性化することが知られています。その中でもツボ(経穴)やトリガーポイントといった反応点に刺激を加えると更なる治効を示します。ツボへの刺激は、神経や圧力の変化を感知し反応する圧受容器へ働きかけ、血管を拡張させることで血流の増加とともに筋緊張を緩和させます。また、鍼灸では末梢で微小な損傷を起こすことで睡眠物質であるアデノシンの放出を誘発し、局所においては鎮痛効果を有することが明らかになっています。

ツボの箇所

下に示す5つのツボの●箇所は、うつ病に効果のあるとされているツボです。それは、百会、印堂、太衝、内関、合谷です。百会は、頭頂部のほぼ真ん中で少しへこんでいるところです。印堂は、眉間の中央です。太衝は、足の甲にあり、親指の骨と人差し指の骨が交わる手前(谷部分)にあります。内関は、手のひらを上に向けた状態で、手と手首の境目にあるしわの真ん中から指3本分ひじ側へ進んだところです。合谷は、手の甲を上にして、親指と人指し指の骨が交差した部分から、人差し指へ向かって押していき、痛みを感じるくぼみのところです。

うつ病に効果のあるツボは睡眠においても効果があると考えられます。うつ病あるいは抑うつ傾向のある患者は、日常のストレスが蓄積して自律神経調整に障害を来し、気分障害や睡眠障害など多くの症状を併発してるからです。身体的特徴としては過度の筋緊張を有している場合が多く、これらツボ押しには筋緊張を緩める効果があります。

鍼治療での睡眠の質の改善の研究

鍼治療は、自律神経機能の調整をすると考えられており、特に副交感神経活動の亢進は、鍼治療の治効メカニズムの一つとして仮定されています。そして、膻中と中脘への得気(針を刺した後に起こる刺激や疼き等の感覚のこと)を生じさせない筋膜上圧刺激が心拍数を減少させ、副交感神経活動を亢進させることがわかっています。筋膜上圧刺激とは下の図のように、鍼を筋膜の深さまで垂直に挿入し、速やかに抜鍼する方法です。

黒野式全身調整基本穴への鍼治療(筋膜上圧刺激)による睡眠の質の改善効果という研究論文を引用・参考にしています。

鍼治療は不眠症に対して改善効果があることは臨床的に経験されますが、1回の鍼治療が自覚的な睡眠の質を改善した研究報告です。
この研究では、健康成人男性12名を鍼治療を行わないグループと鍼治療を行うグループの2つに分け、その効果をOSAという、起床時に睡眠感を記入する方法で評価しました。OSAは起床時眠気、入眠と睡眠維持、夢み、疲労回復、睡眠時間の5つの因子で構成されています。鍼治療を行ったグループの鍼治療は、黒野式全身調整基本穴に筋膜上圧刺激にて、昼食2時間後の14時~15時に行いました。OSAへの記入は次の日の起床時に行っています。下の表がその結果で、Aグループが鍼治療を行ったグループで、Bグループが鍼治療を行わなかったグループです。赤で囲んだ入眠と睡眠維持・夢み・疲労回復においてAの鍼治療を行ったグループのほうが点数が高いことが分かります。つまり、1回の鍼治療だけで、入眠と睡眠維持・夢み・疲労回復において効果があったとしています。

コメント

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