睡眠の質を上げる食べ物
睡眠の質を上げる食べ物とは、体の中で睡眠物質となったり、腸内環境を良くしたり、睡眠にとってプラスに働くものです。それは、ヨーグルトなどの発酵食品、大豆やレバー、魚介など様々なものがあります。
大豆食品
以下の記事はトリプトファンとその代謝産物についてという研究論文を引用・参考にしています。
大豆やきな粉、凍り豆腐などの食品はトリプトファンを多く含んでいます。トリプトファンは必須アミノ酸の一つで、タンパク質合成の素材になるだけでなく、セロトニンやメラトニンになります。セロトニンは精神を安定させ、睡眠に関与しています。幸福を感じるときに分泌されるともいわれています。また、メラトニンは生体リズムの調整に関与しており、体内時計と関係するホルモンです。性腺機能の季節変動に重要な役割をもっており、睡眠や覚醒といった生体リズム、精神活動に関与し、体内で生じる活性酸素と反応する抗酸化作用も持っています。その他、小麦胚芽、カシューナッツ、ゴマ、ヒマワリの種、シラス干し、かつお節、脱脂粉乳、ナチュラルチーズなどにもトリプトファンが多く含まれています。
トリプトファンはの一日の摂取必要量は、乳児で17mg/kg、幼児で12.5mg/kg、成人で3.5mg/kgであり、一日の必要量が最も少ない必須アミノ酸です。トリプトファンは成長や精神機能にとって必要な物質ですが、多量摂取による好酸球増多筋痛症群という病気の発症など、摂りすぎると危険性もあります。
シジミ
シジミはオルニチンというアミノ酸を含有しています。オルニチンはノンレム睡眠を増加させます。その効果は、睡眠改善サプリメントとして市販されているグリシンよりも強力ですが、服用後の短い時間に限定され、用量を増加すると逆に睡眠を阻害してしまいます。
動物のレバー(肝臓)やシジミやアサリ
以下の記事は睡眠覚醒リズムとビタミンB12という研究論文を引用・参考にしています。
動物のレバー(肝臓)やシジミやアサリはビタミンB12を多く含んでいます。ビタミンB12には、睡眠・覚醒リズム障害を持つ人に対して、リズムを同調させる効果があります。例えば、
3歳頃から睡眠時間帯が日を追ってずれていく状態が10年以上続いていた先天盲のある17歳女子に、ビタミンB12を1.5ng/日の投与を4~5日続けたところ、入眠時刻が規則的になりました。一時的にビタミンB12の投与を中止すると再びリズムのフリーランが始まり、再投与によりリズムが再び同調しました。
サフラン
サフランはブイヤベースやパエリアに使用される香辛料で、クロシンやクロセチンという薬効成分を含有しています。これらは、容量依存的にノンレム睡眠を数時間にわたり増加させます。
主原料には農薬不使用で、添加物も無添加。さらにサフランの中でもクロシンの多いめしべだけを使用した健康食品があります。
機能性表示食品【ぐっすりサフラン】
眠り草(アキノワスレグサ)
沖縄で眠り草と呼ばれるアキノワスレグサという植物があります。オキシピナタミンというアミノ酸を含有しており、ノンレム睡眠を増加させます。
アスパラガス擬葉
以下の記事はアスパラガス擬葉摂取による睡眠改善効果という研究論文を引用・参考にしています。
成長したアスパラガスを放置しておくと、葉の部分から細い葉のようなものが伸びてきます。それがアスパラガス擬葉です。そのアスパラガス擬葉を2g/日を含むカプセルを、40歳~69歳の男性10名を対象として2週間摂取してもらったところ、摂取前と摂取後で、PSQIという睡眠アンケートで睡眠の改善がみられました。特に目覚めが良くなる可能性があります。
蠣
以下の記事は勤労者を対象としたカキ肉エキス含有食品のストレス、疲労、睡眠の質及びQOLに対する効果の検討という研究論文を引用・参考にしています。
蠣には亜鉛はもちろん、セレンや鉄などのミネラルを豊富に含んでいます。うつ病患者は血液中の亜鉛濃度が低いことが報告されています。また、抑うつ症状や睡眠障害に共通している現象の一つとして脳での糖代謝低下が報告されています。セレン不足が脳での糖代謝低下にかかわっている可能性があるのです。デスクワークを中心とした20歳~60歳の男女を被験者として、蠣エキス含有食品を摂取すると、寝つきが良くなり睡眠が維持され、疲労回復効果があったとしています。
イワシやマグロなどの魚類
以下の記事は脂質摂取による睡眠への影響という研究論文を引用・参考にしています。
イワシやマグロなどの魚類や、クジラやアザラシなど水棲哺乳類の皮下脂肪にはエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などn-3系脂肪酸がトリアシルグリセロールの形態で豊富に含まれています。魚油からオメガ3系脂肪酸を補給することで海馬のグルタチオンペルオキシダーゼ、カタラーゼとグルタチオン/酸化グルタチオン比率の減少を防ぎ、酸化グルタチオンの増加レベルを正常化します。オメガ3脂肪酸を摂取することで海馬中の脂質の酸化が抑制されたことから、睡眠時間の短縮による記憶障害をオメガ3系脂肪酸が防ぐ可能性が示唆されています。直接的に睡眠の質や量にかかわることではありませんが、不飽和度の高い脂肪酸が豊富に存在しているため、抗酸化機能を介して睡眠障害の影響を抑える可能性が期待されます。
サケ・マスの魚卵
以下の記事は脂質摂取による睡眠への影響という研究論文を引用・参考にしています。
サケ・マスの魚卵にはDHA結合型ホスファチジルコリンが含まれております。サケの魚卵の抽出油を1000mgを3か月間摂取して基準の睡眠(ここでは3日目の夜)と比較したところ、レム睡眠の割合が増加しました。レム睡眠の増加は無制限ではなく、生理的な範囲内(30%前後)で増加し、熟眠感も得られたそうです。レム睡眠の増加は熟眠感の向上をもたらす可能性が示唆されました。この論文の筆者によると、睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠しかないため、どちらか一方が適切に整えられれば、他方も必然的に整うとのことです。
食物繊維と砂糖
以下の記事はFiber and Saturated Fat Are Associated with Sleep Arousals and Slow Wave Sleepという研究論文を引用・参考にしています。
食物繊維を摂取すると深い睡眠である徐波睡眠が多くなり、飽和脂肪酸の摂取によるエネルギー量が多いと徐波睡眠が少なくなります。砂糖及び食物繊維以外の炭水化物によるエネルギー摂取量が多いと覚醒状態が多くなるといいます。
ヨーグルト
腸内環境を整えることは、睡眠の質を上げることに繋がります。そして、腸内環境を整えるのに有効な食品は発酵食品です。その中でも有名なのはやはりヨーグルトでしょう。
以下の記事はヨーグルトと微生物という研究論文を引用・参考にしています。
ヨーグルトは、整腸作用があり、便性の改善や腸内腐敗産物の低減、ビフィズス菌の菌数・占有率の上昇などが認められます。多くの栄養成分は小腸において消化吸収されますが、小腸では胃酸や酸素の影響が残り、小腸に定着できる菌種も限られます。一方、大腸は極めて嫌気度が高く、非常に高い密度で偏性嫌気性菌が生存しています。それらは、小腸において消化吸収されなかった栄養素を利用することになり、食物繊維は便形成にも関与するが、腸内細菌の重要なエネルギー源にもなります。だから食物繊維を食べることは睡眠により影響を与えることにもなります。適切に構成された腸内細菌叢は生体の恒常性を維持するために必須なのです。しかし近年は整腸作用だけでなく、感染防御、消化管免疫制御、炎症性腸疾患改善、がん抑制など多方面にわたり検証が行われています。因みに、過敏性腸症候群患者(私も会社へ行くとおなかが痛くなります。)の腸内細菌叢は健常者と比較し、Bifidobacterium(ビフィズス菌)とLactobacillus(乳酸菌の一属)が減少しているとの報告がありますので、ヨーグルトは食べたほうがいいです。
清酒酵母
以下の記事は清酒酵母による睡眠の質改善作用と機能性表示食品への応用という研究論文を引用・参考にしています。
清酒酵母はリラックスや鎮静作用があり、脳機能を円滑にして睡眠の質を向上させる機能があるようです。
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